RESEARCH

Concept

株式会社アグロデザイン・スタジオは、バイオサイエンス技術を基盤とした独自の創農薬プロセスで、

安全性と薬効を両立する農薬の研究開発を行なっています。 

Mission

農薬の科学的エビデンスを明確にする分子標的型新規農薬の開発

無農薬有機栽培は収穫量が低下するため、国内の0.2%の農地でしか行われておらず、その他のほどんとの農地では農薬が使用されています。これまでの農薬開発プロセスは、農薬候補となる合成した化合物を害虫や雑草、土壌性細菌に添加し、できるだけ多くの対象に効果を示す物質を採用する「ぶっかけ探索法」でした。しかし、この方法では薬剤の作用メカニズムが明確ではないため、ヒトに対する安全性が保障できませんでした。


私たちは、次世代の農薬に求められる要素としての

1. 安全性の向上
2. 薬剤抵抗が生じにくい新規作用機構

を実現するべく、標的物質の構造から逆算してデザインする新規創農薬法を採用して研究を行なっています。 


当社の新規創農薬法

私たちはヒトには無いタンパク質を薬剤標的に、構造ベースで専用薬をデザインする分子標的型農薬の開発を行なっています。生物は皆、その設計図であるDNAを持っており、その内容はヒトや植物、害虫それぞれ異なります。DNAに書き込まれている生存に必要な遺伝子をヒト・植物・害虫などで比較し、そこから駆除したい対象のみが持つ酵素を同定します。その酵素特異的に結合する化合物をコンピューターを使ってデザインし、生存に必要な活動を阻害することで、駆除対象にピンポイントで効果を発揮させることができます。このように、農薬の開発プロセスは生命情報に基づいた理論的なデザインへと変換が可能なのです。


ヒトと農作物と環境に優しい農薬を

農薬は、安全で美味しい食べ物を皆さんにお届けするために奮闘する、農家さんの味方です。

私たちが開発する農薬で、農家さんも消費者の皆さんも地球環境も守ります。 

Pipeline

硝化抑制剤

農薬/肥料添加物として利用されている硝化抑制剤は、肥料の利用効率を高める薬剤です。農作物の栽培には窒素肥料(アンモニア態窒素)が欠かせません。しかし、施肥された窒素肥料の半分以上は、作物の栄養にならずに川や地下水に流出します。この原因は、アンモニア酸化細菌などの硝化菌の代謝作用(硝化作用)にあります。硝化菌は、窒素肥料を栄養源として吸収したのち、排出物として硝酸態窒素を出します。硝酸態窒素も作物の栄養源になりますが、雨と共に農地から流出しやすいため、河川や地下水に流れ込み、富栄養化などの環境汚染の原因となります。

わたしたちは、アンモニア酸化細菌の活動を押さえる分子標的型の硝化抑制剤を開発しています。安全性が高く、環境にやさしい硝化抑制剤を提供することで、持続的農業に貢献することを目指します。

*写真は富栄養化によってアオコが増殖した霞ヶ浦の北浦(茨城県)2018年9月9日撮影。

共同研究先(硝化抑制剤以外)

  • 久留米大学 医学部 杉島正一 准教授
  • 東京大学大学院 農学生命科学研究科 浅見忠男 教授